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その拡大の方向は、あまりにも的確に、現代日本人のニーズを捕捉しており、目を見張るほかはない。
ジュニアファミリー向けマンション市場を探り当てたとき、N氏が掲げたキーコンセプトは「職・住・遊」近接だった。
このキーコンセプトは、これからの日本の生活者の本音をついたものであり、どのジャンルのビジネスにも適用可能なものといえるだろう。
つまり、このキーコンセプトから、ジュニアファミリー向けマンションのような、それまでの市場にありそうでなかった、新しいビジネスシースが膨再として生まれる可能性は、限りなく大きいのである。
私は、このN氏の動きから、現在の日本経済のあり方、そしてその将来向かうべき姿の典型を見る思いを深めている。
これまでの日本の社会では、敗者復活戦が許されず、一度でも会社を倒産させたり、自己破産に追いやられてしまった人間は、その後、一生涯、身をかがめて生きていくことを余儀なくされていた。
だが、N氏のように、倒産、自己破産から会社を再生し、みごとな″敗者復活″を遂げる経営者が、ついに日本にも出現したのだ。
不死身の経営者であるN氏の生きざまを1人でも多くの人に伝えたい。
私の気は大いにはやった。
元東京大学大学院教授の畑村洋太郎氏は、「失敗学会」を設立し、個人の人生においても企業活動においても、そして社会全体も、失敗から学ぶことの大きな意味を説いている。
畑村氏の主張を待つまでもなく、日本の社会は、失敗からしか得られない教訓を次のステップへと生かす土壌をもっとつくるべきである。
次に、この本で示したいのは、日本の社会はこれまでとはまったく異なるベクトルで動きはじめており、それをいち早くキャッチアップした企業だけが、先へ、先へと歩みを進めることができるという事実である。
人生が思うようにいかない。
企業活動が望んだように拡大しない……こうしたことを、この十数年、私たち日本人は、当たり前のように受け止めてきた。
バプルの崩壊、長引く不況、少子高齢化、金融の逼塞……いいわけにはこと欠かなかったからだ。
こんな時代だから……、といえば、誰もが大きくうなずいてくれた。
だが、そういう言葉に甘え、逃げ込むことはもうよそう。
日本経済には、まだまだポテンシャルが潜んでいる。
それをいかに引き出し、より活性化していくか。
いまこそ、それが強く問われているのだ。
どんな時代にも、その時代の旬のニーズが存在する。
目を見開き、耳を澄ませ、人々の本当に望むものを探りあてていけば、ビジネスチャンスはちゃんとあり、企業活動は繁栄に向かう。
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